この週末は百万石祭りをどっぷりと楽しみました。
金曜に、浅野川で加賀友禅燈ろう流しを見て、
土曜には、お祭りのパレードを見て、
今日は、初めて百万石茶会に参加してきました。
このお茶会、前から気になってはいたんですが、お茶会というものにすごく敷居が高そうなイメージがありなかなか踏み出せずにいました。
今年、パンフレットを見ていてふと目に入った「茶道経験のない方でも気軽に参加いただけます」
という一言。これをそのまま受け止め、えいやっとチケットを買ってみました。
チケットは特に場所や時間の指定もなく、当日、好きな時間に好きな会場に行けば良いようなものでした。
今回私が行ったのは「旧園邸松向庵」。
松月流松翠会(煎茶道松月流)さんの茶席でした。

会場には大きな看板が出ていました。

一歩踏み入れるとこんな様子。
お茶会の様子
ちょっと緊張しながら参加したんですが、思っていたより気楽に楽しめました。(そういう雰囲気にしてくださってました。)
なにより、お茶会を開催している亭主(司会者のような方)のお話がとっても興味深くて面白くて、聞いているうちにあっという間にお茶席が進行していく感じでした。
お茶会の写真は撮影できなかったのですが、
まず、一煎目に低温でゆっくりと淹れたお茶が出てきました。
とっても良い香りの煎茶。
ひとくち口にしたら、思わず「美味しい…!」と漏らしてしまいました。
お茶の葉の甘みが感じられてとーーっても美味しい。
煎茶なのに、お茶の苦みもあるのに、甘い!何これー美味しい!
温度も最高で、お茶室の中庭を眺めながら、体の内側から幸福な気持ちがどんどん沸いて出てきて、気持ちが急激に満たされていくのを感じました。
そのあとに、お菓子をいただきます。
お菓子は、吉はし菓子店の上生菓子でした。華やかなピンクのお花でした。
お菓子をいただいた後、二煎目のお茶が出ました。
同じお茶ですが、今度は高温で淹れたお茶。
これが、上品な苦みが出ていてまたまた美味しい!!
先ほどと同じお茶とは思えないくらい全然味が違う!
お菓子で甘くなった口の中も、さっぱりとする苦さでした。
お茶って淹れ方でこんなに味が違うなんて。
とっても奥が深い。
お茶の器は、お花の器で、器のお皿は錫でできたもの。上から見ると器の外側のお花柄が錫に写って、内側のお花と外側のお花でぱぁっと華やかに広がって見えました。
お茶室のしつらえ
この日は、百万石祭りということもあり、珠姫様にちなんで加賀てまりが沢山の可愛いお茶室でした。

珠姫様についてのエピソードですが、
かつて徳川家康が、加賀藩に謀反の疑いを持ち、その際に加賀藩の前田家は、実の母を徳川家に人質として差し出したそう。そしてその変わりに徳川家から、家康の実の孫である珠姫様を前田家に嫁入りさせて、お互いに裏切らないというような約束をしたそうな。
そして、お嫁に出された時の珠姫様はたった3歳だったとのこと!
今、この話を聞いたら、
「一体女性をなんだと思ってるんだ!それに児童虐待やないか!許せん!」
と言いたくなりますが、当時は女性は交渉の道具のような存在だったんですね。
そんな珠姫様が、嫁入りするときに持ってきていたのがてまり。そのてまりを見て、加賀の職人たちが色々な伝統工芸技を使い、美しいまりを作ったことが加賀てまりの始まりだそうです。
てまりの中には、鈴が入っていて振ると音が鳴るんですって。

こんな華やかな能登てまりも飾ってありました。

まりが華やかなのでお花はシンプルに。
それから掛け軸は、

「松無古今色(まつにここんの色なし)」
松は若くても年でもいつでも緑で変わらないもの。
そのように年の人も若い人もみんな平等に、今日は楽しみましょうという意味を込めてこれを選んだ、といったような話でした。
禅の言葉らしく、この対義語として「竹は上下や違いがきっちり分かれている」という意味のものもあるそうです。
こんな風に、お茶の話、掛け軸の話や、歴史のエピソードなど、ひとつひとつのお話をなるほど~と思って聞きながら、美味しいお茶をいただく時間がとっても楽しくて、あっという間に時間が過ぎていました。
夏には夏の器を使ったり、冷たいお茶にしたり、季節ごとにお花や飾りも変わっていくと思うと、お茶も面白い世界なんだろうなぁ。また参加したいな~と思った体験でした!